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軽症糖尿病などは運動を主体にして食事療法を行うことでよいコントロールが可能になりますので、糖尿病、肥満症、あるいは高脂血症なども、高血圧症と同じように運動療法が保険適用になっていくだろうと思います。ただし200床以下の病院にしか保険適用がないということは、軽症な患者さんは大きな基幹病院などには直接行かないほうがいいという厚生省の意向があるからです。軽い人は近くの医療機関で指導を受ける、それで十分だということだと思います。
運動の内容も、具体的には一日20分、一日2回、1分間80m位の速さ、脈摶90〜110拍くらい、メッツで4〜5メッツくらいが適切な運動量です。とくに医学的なチェックで問題がなければ、その程度までの動的運動を指導する。これは看護婦さんにしてもらうのが指導者としてはいちばん適役だと患います。ですから、ナースのみなさんに健康運動指導士のライセンスを取ってもらうのがいいのではないかと思います。
それと、見逃してならないのは筋力トレーニング、つまりウエートトレーニングです。これは静的運動といいますが、大小500の筋肉組織を活性化するのがインスリンの効きめをよくする上で欠かせないことですから、糖尿病では10分間くらいのウエートトレーニングをぜひ加味したいのです。それと10分程度の体操です。こういう組み合わせで“いつでも、どこでも、一人でも”というのが運動療法のあり方だということです。運動をすることで軽症な高血圧は十分コントロールが可能ですし、インスリンの効きめがよくなります。インスリンの効きの悪い状態が糖尿病の軽症期の特徴であり、また顕性糖尿病においてもインスリン非依存型糖尿病ではインスリン感受性の低下ということが大きな問題ですので、これを改善する上で運動がもっとも有効な手段なのです。また脂質のプロファイルも改善しますし、心臓の仕事量を軽減し、体重のコントロールにも役立ち、肉体運動能力、抵抗力を向上させ、ヘルシーという

 

 

 

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